「さびしいまる、くるしいまる。」 の感想・レビュー


何のためにもならず
頭を使わないでも読めるエッセイをさがした結果、
最近中村うさぎの昔の著書を読むのにはまっています。

今、著書の1/3位は読んだと思います。

中村うさぎと言えば、
ゴクドー君→ショッピング病→ホスト狂い→整形→風俗
という位しか知らず
結構精神的にやばい人というイメージしかなかったですが、
読んでみるとかなり面白いですね。

冴えわたる軽快な筆が紡ぎ出す破滅へのロンドは、
まさに”正気で狂ってる”と言った面白さです。

銀行口座凍結されたのに数十万使うとか庶民には理解できませんww


そんな中で目を見張る面白さだと感じた一冊。


さびしいまる、くるしいまる。 (角川文庫)さびしいまる、くるしいまる。 (角川文庫)
(2006/02)
中村 うさぎ

商品詳細を見る
彼女のホスト狂いについてまとめられた本です。

この本の面白いところは、最初はいつもどおりの中村節と恐ろしい散在によって話が進められ、
いつも通り破産するという話だと思いきや、なんと途中から彼女の内面についての話になってゆくところです。

最初はホストの描写も多く、ホストという存在が読者にも形を持ってイメージできるのですが、
後半になるにつれその影がどんどん薄くなっていく。
ホストのことを書いているのに、ホストの影が本から消えてゆくところからも、
彼女の意識が自分に向けられているのがわかりやすく感じられます。

ホストに何を求めているのか。
ホストに消えてゆくお金とは何なのか。
中村さんは何を求めているのか、そして何者なのか。



後半はいつもと文体も違って、こんなにも生々しい文章をかける人なのかと驚きました。
エッセイというより、まさに血を吹き肉を削る体験から生まれた、ノンフィクション小説ですね。


この本は、読んで凄く惹かれる人と、全く理解できないもしくは馬鹿な女だと思う人ではっきり分かれると思います。

その境界は、ずばり「自己評価が低くないと中村うさぎに共感できない」ということですね。

中村さんはとにかく自分が無価値であるというのに苦しめられてますね。
だからブランド物で身を固めて特別になりたがるし、
ホストのタニマチ気分で「自分がこのホストを育てた」という気分に陶酔したりする。

でも、彼女が本来求めているものはそれ自体ではないので、渇望は深まるばかり。

でもそれを辞めてしまうと自分が無価値だと、救いのない絶望を思い知らされるので辞めることはできない。

出版社からお金を借りてでも、夫の親が危篤でもホストクラブに通い続ける。
彼女も言っていますが、それはもはや自分と言う個の存亡をかけた特攻なんですね。


さて、そんな中村さんは、血を吐くような中で、何でホストにハマるのか?という答えを見つけます。


---------------------
みなさん、私はね、気づいてしまったのです。
私の世界には、「私」以外誰も存在しないのだ、と。
私は、「私」という惑星に住む、たったひとりの孤独な住人だったのだ、と。
---------------------
私はあらためて自分の書き上げた小説を読み直した。
間違いない、そこには「私」しかいなかった。
すべての登場人物が「私」だった。
---------------------
私は「私」しか見ていない。
そうだ、私は現実の春樹なんか見ていない。
春樹の中の「私」を見つめ 「私」 に恋し、「私」に金をつぎこんでいるに過ぎないのだ。
---------------------
私の恋愛が、いつも不本意な結果に終わるのは、結局、私遊びにあきてきた頃、相手を初めて他者と認識した瞬間に
これまで培ってきた(と思っていた)関係が一気にガラガラと崩壊してしまうからではないのか。
なんだこんな奴だったのか、と私は思う。
そんな奴だったのだ。最初から。
---------------------
「なぜホストクラブにハマったのですか?」
いまこそ、私はインタビュアーの問に答えられる。

それは私の「他者」探しだったのです。

そして、自分の排泄物(注・お金)で他者を育てる喜びは、私のひり出すもの(注・作品)が、決して無駄なものではないことを証明してくれような気がしたからです。
---------------------




これ私のことじゃん!!!

そうか…私は私の星にひとりだったのか…。
言われてみれば確かにそうだ。
私の理想の男性は、私にそっくりな人ばっかりだ。
ようは、私はその男性の中に自分を見ていたというわけだ。
その人自身は見ていない。

これは交友関係でも多分に言えると思う。

でも、自分と他人なんて知れば知るほど違うにきまってるんだから、自分の求めてた相手の中の自分がどんどん消えて行って、疎遠になって、そんなことやってるからどんどん孤独になってゆく。

そうか…。
そうだったのか。

私は凄い感銘を受けた。

そして、そのことを気づかせてくれたホストに感謝をして、本は終わっている。





いるんだけど…

実はこの本は、出版から3年後文庫が出てて、その3年後の追記があとがきに記載されている。

その内容が、盛大なオチというか、数ページでこれだけのオチをつけた本を他に知らない。
その上、めっちゃ読後感が悪い。数ページでこれだけの読後感の悪さを与える本って逆に凄い。
興奮しすぎて寝れなかった。笑

そのあとがきこそが、いかに「彼女の自意識の中での、自分の投影としてのホスト」を見てて、「ホスト自身」を見ていなかったのかを、ありありと白日のもとにさらけだすんですね。


しかし、それ含めホストである。


秀逸だと思います。
怪書ですね。
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コメント

私も

すがそうなんです。私も中村うさぎってなめてなんですけど、さびくる読んでこの日とすごい!と思いました。
二度読み返して面白い本って、大地の子しか知らなかったんですが、この本は二回読んでも面白いです。
ホストクラブに行きたくなりましたし、行くのがこわくなりました。

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