調和を取れば革新はない。


今の会社に入って、とにかく驚いたことがある。

新卒採用された人間(もう3年目)を見ていたのだけれど、どの人を見ても私の知ってる新卒採用40日目くらいの仕事しかできないのだ。
もうね、ようやくはじめてのGWあけたくらい。
五月病しながら頑張ってるくらい。
そんな感じ。

そんなことあるか?!と思って毎日よく観察したのだけど、すごいことに気がついた。



なんと、誰も育ててないのだ。


そのため、めちゃくちゃに実務能力が低い。

大学生を雇ってるような状態になっていて、私が15分でこなす仕事を4時間かける、1週間でこなす仕事を4ヵ月かける、などの状況がザラに起きている。

しかも育てられてないから、その仕事が何を意味してるのか全くわかってない。

なんだかわからないけど言われたからやる。
そんな状態がずっと続いている。


ctrl cとctrl vすら覚えてない人がいるようなんだけど、誰も何も言わない。


その後しばらくして、もっと驚くことに気づいた。

そもそもなんでそんな状況かといえば、いまの会社で実務能力が低いことは特に問題ではないようなのだ。
正しくは、「実務能力が高い」ことがあまり評価のポイントになってない。


なにが評価されるかというと、「多くの人と調和を保つ」こと。


波風たてず、色んな部署とうまく調整して、どこからか言われた指示通りにことが運ぶようにするこそが「仕事が出来る人」。

そういう視点でまわりを見ると、私が仕事が出来ないと思った新卒の人たちはその点で私など足元にも及ばぬほどポテンシャルが高い。


そして、みんなの中に入るのがうまい、というのは逆を返すと「自分なりのコアがない」ということを示している。
自己軸があいまいだからこそ他者軸に寄り添うことが出来るのだ。

コアがない人というのは、私からすると面白くて、ある時開発の仕事した後営業やって、今日から総務です、というのにも普通に対応できる。

正直全く考えられないのだが、これもコアがないからできることだろう。


そして、コアがある人間。
つまり「自分はこれをやるぞ」「これはこうしたほうがいい」「かくあるべし」という信念やコア、ハングリー精神がある人間はそのメンタリティのために、人とぶつかる場面が出てくる。
自己軸があるということは、時に他者軸との対立を示す。

ちなみにコアのあるなしが重要かどうか?に差を感じたエピソードがあって。

私は
「提案は3案作ってその中で最も良いと思う1案とその根拠をセットで提案しろ、自分の案件なのに「どれでも好きなの選んで」なんていうやつは無責任すぎて馬鹿」と教えられた(これは過去全ての会社でそういう風潮があった)が、今の会社でなんとも思わずいつも通りそれをやったら
「自分で決めようとしてくるなんて図々しい身の程知らずな人間だ」
と思われてたようだ。

もちろんオススメした案が反対されることもザラにあって、討論してさらにいい案にするのが普通なんだけど、そういう場合に、協調型の組織では「根回し」という交渉術が使われているらしい。
(根回しすればokで根回ししないとNGになる理由ってどういう事なのかいまだによくわかんないのだが…)


同じ日本の企業で、こんなにも尊ばれる能力に差があるのかと心底驚いた。


私が「あの人(仕事遅くて)仕事できなそう」と思う時、相手もまたこちらを「あの人(調整能力なくて)仕事できなさそう」と思っているのだ。



そんな経緯から、なぜ大企業は新規事業に失敗するのか?という答えを偶然見つけた。

調和を尊ぶ会社でイノベーティブな新規事業を創出しようとした時。


そもそも大企業は信念やコアがない人間をよしとして採用してるので、「事業はかくあるべし、こういうものを作りたい」ということを考える人間がいない。

また新事業を評価する人たちも調和を重んじ、コアを持たない風土で育った人たちなので「社内政治的に強い力を持つ人が面白そう思うもの」が選ばれる。

何をもって面白いと決めるのか?
例えば20代女性がターゲットだった場合
「おじさんか頭の中で想像する20代女性(実際にはそんな人間この世に一人もいない)が喜びそうなもの」
となる。
それこそが面白い企画。
※この辺はダサピンク問題が説明に明るい。


たとえば。
そんな企業に、この事業が当たるという確信を持ち、信念を持って事業に取り組む闘志溢れる人間が現れたとしよう。


新規事業の立ち上げに限らず無いものを生むという行為は殺るか殺られるかみたいな所があるので、やる方も必死なのだが、そもそも「ものを生む時のそういう感覚」は協調性を重んじる人間には分からない。

そんな調和を重んじる人間から、事業立ち上げチームを見たらどう映るか?

偶然、他社の仕事関係の人がそういう状況にいるらしく、面白いことを言ってくれた。

「ホント話しにくいし何考えてるのかわからないし。頑張ってるのはわかるけど必死すぎて殺伐としてるしなんなのあの人たち。相手したくない。」

彼は調和型の人間だが、きっと彼は「自分が現在、調和だけを重んじて生きていてもお給料が潤沢に貰える事業がどうやってできたのか?」を考えたこともないのだろう。

しかし実務型の人間は新年がある代わりに融通も聞かないし調整力があんまりない。
なので少人数の時にはコミュニケーションロスも少なくまだいいのだが、実務型ばかりの人間で組織しようとしても結局個人事業主の集まりの域を出ず、それはそれで機能しない。


大きな組織で何かを始めようとする時、ふたつが適度な割合で存在して、かつ自分のできることできないことを認識できた時に、初めてイノベーティブなことを形にすることが出来るのだろう。


しかし、組織のなかでそれを体現することがいかに難しいかを、没落してゆく数多の往年の有名企業が示している。


だって普通に、そんな軋轢抱えながら事業作るくらいなら、起業したい何人か集めて自分たちだけでやるもん。

結局のところ、それにつきるんだよなあ。









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