タラレバ娘をよんだおばさんの話
東京タラレバ娘。
内容は皆さんご存知かと思うので割愛しますけど。
こういった類の漫画って共感できるようにできてますし、まぁ同年代あるあるだろうなと開いてみたものの…
なのに何だろう…何一つ理解できない…
逆に驚いた。
なんでだろうと考えてみると。
実家暮らしのくせに、実家暮らしだから常識がないと言った属性蔑視の台詞や、
頑張って仕事して脚本家になって事務所も構える主人公がほんの些細な挫折で「仕事辞める~」と言い出したり、
(実際33にもなってまでひとりでいる人間はそもそも趣味や仕事などと比べて結婚を取らなかったパターンが多いと思うけど)
ほんっとに何も考えず生きてたら30過ぎてしまって、行き遅れていきなり慌てて、なおかつ唐突に結婚したがるというリアリティのない描かれ方をしている主人公達
など、この作品が放つ明るくカジュアルな雰囲気の裏にすけてみえる、上から目線の嫌悪感や憎悪に若干引くってところがあると思う。
なんだろこの感じ…他にもあるよなと思ったけど「噂の東京マガジン」の料理作らせるコーナーに近い。
初老近いおっさんたちが(自分たちは一切料理できなさそうなのに)若い女の子に料理を作らせて嘲笑うあの番組。
この二つの気持ち悪さの共通点って、「自分に全く関係の無い隣の畑に笑いながら石を投げる」ところと思う。
こういったリアルな女性の生態を風刺するコメディは、圧倒的に自虐モノ(つまり当事者の作品)が多いのだが、東村氏は結婚もして離婚もして子供もいる。
なので東村氏からみたら、所詮は隣の畑なのだ。
で、かたやその隣の畑にいる30すぎた独り身のおばさんは(本人の自覚がどうあるかは別にして)世間からは「可愛そうな存在」であることを求められていると思う。
非選民であることを求められている。
東村氏は、それに対して後書きでは「結婚しないこともすこくいいと思ってる」「傷つけたくて書いてるわけじゃない」というふうにあなたたちは非選民でないといいながらも、作品では「お前はかわいそうなんだよ」「わかったか!」「わからないから言ってあげてるんだよ」とこれでもかと再認識させて、落として…特に結論はない。
ん?これって…
マウンティングとかフレネミーってやつじゃない??
しかも、作品に出来るくらいの強いマウンティング執念。
その原動力ってなんなんだろうなぁ。と、読んでいてしみじみと思う。
ちなみに私は主人公と同い年なんですけど。
うーん。
よく考えると33にもなって「結婚出来なかったら死」という価値観でのたうち回る人たちを見たことがないんですよね…
31位まではまぁ近しいのはいるけど、そういう人たちは血なまこになって結婚するから、絶滅するし。
そもそも、30過ぎても女の子でいたい、現役でいたい、って人は、若い頃からそういうメンタリティだから経験値も高くて、当然それなりに行動してて異性の往来もあるから、作中にあるような「ずっと男が欲しいけどもう10年近く彼氏いないしわからない」っていう謎のパラドクスを抱えることにはならないんですよ。
「そろそろ落ち着くべきか?!」とかは言ってるけど。笑
一方マジで「10年彼氏いない」やつらは、そもそも本人に異性への興味がなかったり本人にポテンシャルがないことは、生きてる中で自然と理解してるので、33ともなると「たら」も「れば」もなく淡々と仕事して(老後に備えて)堅実に生きてたりして。
もう修道女か尼さんみたいなのがどんどん増えてく。
ぎゃくに私の周りのこういう状況が変わってるのだろうか…
ちなみにこの感想文、自分が当事者意識を持って「私は非選民でないです!やめてください!」という訴えをしたいというよりは
「まだ未来ある娘さんたちに、そんなひどいこと言わなくてもいいじゃない。実家暮らしでも、男性とうまく仲良くできない不器用な性格でも、夢見がちな性格でも。
みんな頑張って働いて一生懸命生きてるんだから。」
という孫をおもうような気持ちに近い。
つまり私も外野であり隣の畑なのだ。
でも隣の畑だからこそ思う。
風刺って、「その問題に真摯に向き合う真剣さ」つまり「愛」が求められるのだなぁ、と。
もしそれが無かったら、ただの揶揄であり悪口に成り下がってしまう。
そんなことを思いながら1巻を読んでたんだけど、2巻目からは多少娯楽商材としてオブラートに包まれてたのでホッとした。
でも、この作品。
どういうオチつけるんだろうなぁ。
漫画の最後って作者がその作品やテーマにいかに命を削って向き合えたか、顕著に出るじゃないですか。
今回の場合だと、表面上の独身女への迎合と、その裏にある(作者が自覚してない)見下しがどういう形で紙に落とされるのか。
最終巻でたら満喫で読もう。
そんなことを思う今日この頃です。
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2 Comments
タラレバ母さん、コメントありがとうございます!
最後まで読みました。
うまく着地できた気でいるのか問い詰めたいラストでしたね…笑
>最終巻、もう発売されてますよ!
最後まで読みました。
うまく着地できた気でいるのか問い詰めたいラストでしたね…笑
>最終巻、もう発売されてますよ!