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honjitu no hirose

広瀬ヒロ

虚空に向かい思考を吐露して17年。 伴侶は孤独、幼なじみは希死念慮、命を支える偉大な信仰、降谷零。 自己葛藤から抜け出せない永遠のモラトリアム中年。引き続き、七転八倒をお楽しみください。

この先やってくる天涯孤独


最近、家族は死ぬ、ということを実感するようになった。





というのも、私の父は60代後半なのだが、ここ1年くらいで急に印象が変わってきたのである。

別にまだまだ元気だし、何かあったわけでもない。
一切病気もしないし、行動に関しても以前と何ら変わりない。

ただ、自分の父が「おじさん」から「おじいさん」になったんだ、という見た目の印象のインパクトがあまりにも大きく、
唐突に家族の死という100%くる将来を目の前に突きつけてきたのだ。



親が死んでも、何も生活は変わらないだろう。
収入も変わらないし自分の生活基盤も変わらない。


ただ、独身で親が死んで天涯孤独になるということは、自分の人生を、自分が生きていることを、喜ぶ人が誰もいないということである。




友達もいて、趣味もあって、きっと楽しいから大丈夫という考え方もあるだろう。


しかし、楽しい友達は毎日いるものでもない、趣味だって老後の時間を100%注ごうとしたって、きっと体力や集中力がもたないのではないだろうか。
(これは親を見てても思う。)

天涯孤独の人生の大半は、誰とも話さず、日中を過ごし、夕方になったらスーパーに行き、レジで精算し、たった一言「ありがとう」と店員に告げ、荷物を持ち帰り、一人夕飯をとり、眠る。
週に一度は老人会に行き、お茶を飲み話す。

こういう生活だ。

そしてこの生活のキモは、
「これを、誰も自分が生き続けることを期待しない世界で、自分が死んでも1ヶ月後には忘れるような人しかいない世界で、20年近く続ける。」ことである。

しかもただ20年生きるだけじゃない。

歩くのも、階段を昇り降りするのも辛くなり、持病の薬を飲み、目が衰え、脳が衰え、人との関わりが薄くなることに起因して鬱っぽくもなってゆき、そういうことを通して死がひたひたと擦り寄ってくることを実感し続けながら生きるのだ。


そこまでして、そんな生活死ぬまでやりたいか?

普通に考えて、自殺したくなる人続出でしょ、これは。



老後の問題の本質はきっと、今ニュースでいうような、下流老人とか、そんなことじゃない。

天涯孤独という、究極の自由によって、生きてることそのものが無意味になってしまうことだと思う。



でも考えてみれば無意味とは、なんのしがらみもないことであり、私個人も常に望んでいる、人間的な摩耗がまったくない世界だ。

人の悩みの大半を対人の悩みが占めると言われるので、つまり無意味な世界とは悩みが限りなくゼロに近い世界である。

そんな素晴らしい世界のはずなのに、生きること自体が無意味な世界。

うーん。
とすると、悩みとはつまり、死んでいないからこそ生まれるものであり、この世で生きていることそのものなのなのかもしれない。


だとしたら、端的にいってこの世は地獄だ。
ゲームの設計自体が悪すぎる。




さて。では天涯孤独人生を回避するには。


一つは結婚し子供を産むことだろう。

子供がいなくても、配偶者が突然早死しないかぎり、天涯孤独期間を短くすることが出来る。
うまくいけば、配偶者がしに、一人になれてしがらみから開放された嬉しさを満喫してるうちに死ねるかもしれない。


もう一つは、「1ヶ月で死んだことを忘れないコミュニティを形成する」だと思う。
たとえばルームシェアとか。


私はこれは結構いいと思っていて。

例えば夫婦や親子であっても、いくら悩みこそ生とはいえ悩みが深ければ軋轢をうむし、なんと行っても夫婦親子の関係は失敗した場合、逃げ場がないし打撃がでかい。

その点ルームシェアはAとBとは仲がいいけどCとはそれほど、であった場合も、ABの緩衝があるため、逃げ場もあるし、軋轢が深くなりにくい。
人の性格や思考は都市を追うごとに変わるため、そういう点でもルームシェアのような「人間関係の冗長構成」ができるシステムはよいのではないだろうか。

また人間は共に時間を過ごすほど愛着がわく。
子供だって、生んだから誰より大事なのではない。身近にいて世話をして、その世話をしたコスト(労力)が無駄になることを恐れるから大事なのだ。
犬猫と一緒。

だから、マンションで隣通しに住んでるよりかは、ルームシェアのほうが人間関係が強固になり、孤独感が生まれにくい。

何度もいうが、孤独感が生まれにくいということは、悩みや軋轢が生まれるということなのだが、もうそこはこの世のゲーム設計がクソなので仕方ない。





先日70代のご婦人がバスの中でえんっえんとはなしていたのだ。
娘の結婚相手の心配、孫1の受験の心配、孫2の発達障害の心配。

頭がおかしいのか?暇すぎて頭がおかしくなってるのか?と思っていたのだが、今思うと、あれこそ人間の生きている姿そのものであり、健全にこの世を全うしてる状態なのかもしれない。

いや、頭おかしいとは思うけど。


まぁでもね。

人の何万倍も孤独を愛して、孤独になりすぎて脳神経が若干やばくなった経験をもつ人間が思うにですね。

思うより天涯孤独はきついと思いますよと。
そういう話でした。





広瀬ヒロ

好きなように書いています。

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2 Comments

広瀬 says..."Re: 面白い"
かばやきさん

はじめましてー。共感ありがとうございます。

>こういう不安感を抱えている人が私含め沢山いるんだから、何らかの形で似たもの同士コミュニティ形成すれば世の中生きやすくなると思うんですけど、、、どうして出来ないんですかね。

たぶんまだ社会問題になってないからだと思いますよ。
世の中って困らないと動かない仕組みがありますし。
今は孤独主義者も若いから私のように適当にやってますが、おそらく私たちが60近くなる頃には社会問題化して、高齢者ルームシェアが増えたり、色々世の中が変わっていくのではないかなと思います。

もうひとつ、孤独に生きて、いいところで安楽死っていうのも、国の財政的にも孤独な老人の選択としてもwinwinだと思うのですが、これは難しいでしょうね。笑




>あまりに共感したので、コメントします。33歳男です。
>自分も婚活しててまだ結果を出せてないので、老後の不安感は凄い共感します。
>こういう不安感を抱えている人が私含め沢山いるんだから、何らかの形で似たもの同士コミュニティ形成すれば世の中生きやすくなると思うんですけど、、、どうして出来ないんですかね。『孤独は嫌だけど人間関係の軋轢も嫌だ』ってところに落ち着いて、結局孤独を不可避にしてしまうんでしょうか
2017.10.28 19:18 | URL | #DM69ZLvQ [edit]
かばやき says..."面白い"
あまりに共感したので、コメントします。33歳男です。
自分も婚活しててまだ結果を出せてないので、老後の不安感は凄い共感します。
こういう不安感を抱えている人が私含め沢山いるんだから、何らかの形で似たもの同士コミュニティ形成すれば世の中生きやすくなると思うんですけど、、、どうして出来ないんですかね。『孤独は嫌だけど人間関係の軋轢も嫌だ』ってところに落ち着いて、結局孤独を不可避にしてしまうんでしょうか
2017.10.27 23:31 | URL | #- [edit]

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