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honjitu no hirose

広瀬ヒロ

虚空に向かい思考を吐露して17年。 伴侶は孤独、幼なじみは希死念慮、命を支える偉大な信仰、降谷零。 自己葛藤から抜け出せない永遠のモラトリアム中年。引き続き、七転八倒をお楽しみください。

うまれて、はじめて。


今日は11/24です。
私が生まれて初めて、同人誌即売会で本を頒布した日でした。



同人の即売会ベントっていうのは、10時スタートなんですけど。
サークルという同人誌を売る側の人は、大体8時くらいには会場には入れるんですね。
で、設営が終わった後、だいたい9時とか9時半ころからは、自分の欲しい本のサークルさんに並ぶこともできます。

一般の人は10時入場後からしか並べないので、サークル参加の人は一般参加の人より買うときに有利です。

実は、今回本を出した経緯は、どうしても欲しい本があり
「この本を全て確実に手に入れるためにはどうしよう→サークル参加すればいいのでは→よし、何の本を作ろう」
という不純な動機でした。

今回出した本は、少し変わった企画本。

その企画は元々、9月頃、仲間内でやったコナンのオフ会のなかで、パワポプレゼン大会をやったときに披露したもので。
イベントに出るということが決まったとき、周りからもあれを本にしたらいいんじゃないか?ということで、作ることになりました。

原稿は、漫画ではないので比較的時間かかってないですが、それでも24Pで100時間近くはかかったと思います。
最後の一週間は、帰宅後19~24時まで休憩なし+土日全部作業で、ぶっとおしでやってました。
何十回と
「この感覚知ってる…大学の頃の卒業制作の追い込み期と一緒だ…なんで10年以上たってこんな苦行をまたやってるのだ…」
と思いましたね。笑
ほんと正気の沙汰じゃない、あれは。


でも、そもそもの本を作る理由自体が、「ほしい本を買いたい、そのために何か本を作ろう」というところだったので、
最初は仲間うちで楽しむための本としか考えてなくて、20~30部刷れば十分でしょ位の感覚で、印刷もオンデマンド中綴りという簡易的なもので考えてました。

しかし、そんな状況も、10月下旬にツイッターに上げたサンプルで一変しまして。
結構興味を持ってくださる方が多く、通販しないんですか?とお問い合わせをいただいたんですよね。
全く予定してなかったけど、まぁそういってくださるなら~と、軽い気持ちでとらのあなでアカウントを作り、試しに販売の申請したら通ったので、販売(予約受付)してみました。

このときはまだ11月上旬で、本は当然できてません。めちゃくちゃ作ってる最中です。
なのに、どんなものになるのかもわからない中、予約をどんどん頂き、初同人にしては相当な部数まで膨れ上がりました。

うれしいように聞こえる話ですが、この時は正直「これはもう下手なものは作れないぞ、大丈夫なのだろうか」というプレッシャーの方が強かったです。
同人誌を作ったことがない人間には、なかなかの状況です。

だったら部数を少なくすればよいのですが。
一方、私は年も年だし、この同人が、人生に最初で最後の同人発行だろうと思っていたんですね。

しかも、ただの最初で最後の同人誌ではないです。
私は、12歳でコミケ(C50前後だと思います)に初めて行ってから、20年以上、コミケや即売会には毎年行ってます。
そういう人間が、自分はこの机の向こうにいくことは一生ないだろうと思ってた中で生まれた同人誌です。

だから、1回しか作らないのなら、余ってもいいから、ほしいという方にはぜひ行き渡ってほしいという気持ちのほうが勝ちました。
あと、余る後悔より足りなかった時の後悔のほうが大きいだろうなという気がしたり、私は買い専なので、買えない本が1冊でもでるとちょっとがっかりするんだよなぁとか思っちゃう、というのも大きな理由です。

また、ちゃんと失礼のないものを作りたいなぁと思い、オフセット無線綴じ、カラーピンナップを4P追加するなど、当初よりも本の装丁もグレードアップしました。

この時はもう締め切りも近いなかでの変更だったので、制作が相当えぐいことになり、仕事じゃないんだぞまじめにやれの精神でなんとか生き延びました。(あんなに仕事に燃えてた人間がこんなことを言うようになるとは)
どのくらいえぐいかって、ご飯食べてる暇もなくて、夜中に毎日餅をレンチンしたものを、紙皿に置いて食べたりしてました。
胃に溜まって集中力がそこなわれなければ、もはや何でも良くて。原稿のことしか考えてなくて。
比較的自炊するほうなので、こんなすごいご飯食べたのもはじめてです。

そんなこんなで迎えたイベント当日。
私は、買い子(同人誌を買いに行く係のこと)だったので、ブースには全然おりませんで。

最初で最後なら、どんな人が一人目として買っていただけるのか見てみたい気もしたのですが、そのころ私は、友達に頼まれたドスケベブックを買うために、元気にビックサイトを駆けずり回っておりましたw

で、11時半ころにいったん自分のサークルに戻って、自分のサークルから2m位離れたところで友達と話してまして。
その時、初めて、作った本を、買ってくださる方を見たんですよね。

なんだかもう、訳も分からないくらい震えました。
本当にこんなことあるんだと、びっくりするくらいうれしかったです。
めちゃくちゃにうれしかったです。
今年はいろんなことがあって、楽しいこととかおかしなことってたくさんありましたけど、
純粋に「うれしい」という感情だけで胸の芯を締め付けられるような衝撃的な体験でした。
その買ってくださった方の横顔を、ずっと見ていました。

あと、私は色々あってサークルスペースにほとんどいなかったのですが、色々お言葉を残してくださった方がいたり、
直接「この本のために来ました」と言ってくださった方がいて、帰ってからは感想なども頂けて、これもすごくうれしかったです。

私も時々作家さんに「この部分がよかった」と話すと「私もそこ頑張った、嬉しい」と言われることがあるのですけど、実際自分の本でも、感想を頂いた際に、私がこだわった部分に、よかったと言って頂けて、紙を通してわかりあえる世界があるんだなと、痛く感動しました。

この感情をどう表現したらよいかわからないほど、他にたとえようもない感情でした。
仕事でほめてもらったり喜んでもらうのとは、わけが全然違います。レベルが全然違う。
それくらいのことを喜びだと自分は勘違いして生きてきたのか、と今は思います。
この感情につけられる名前がない。



そういう体験をした、一日でした。





本の出来に関しては、正直、私の入稿ミスなどもあり、心残りしかないんですが…
なんかもう少しうまくできなかったのかとか、思いますが。
とはいえ、その時に気づけなかったのが仕方ないし、それが自分の実力なので、それはしょうがないのですが。
ただ、お叱りを受けないか相当心配です。
再販できないので、謝るしかありません。戦々恐々としています。

やっぱり、仕事のスキルでカバーできる部分と、業界特有の特殊な部分(同人誌は基本入稿後一発勝負で印刷されます。試し刷りがないです)があって、後者に関しては反省点しかないですね。


ただ、サークルさんがこんなに心配しながら本を頒布してくださってることを知れたのは、とてもよかったと思います。

正直、一般参加って始発で待機とか大変だよなぁって思ってサークルのが楽なのでは?とおもいもしましたが、今回やって見て思ったのは「始発待機だとしても一般参加のほうが100倍楽」でした。


これからも元気に、買い専として生きていきたいです。

以上、広瀬のはじめての同人誌頒布。終わり。


広瀬ヒロ

好きなように書いています。

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