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honjitu no hirose

広瀬ヒロ

虚空に向かい思考を吐露して17年。 伴侶は孤独、幼なじみは希死念慮、命を支える偉大な信仰、降谷零。 自己葛藤から抜け出せない永遠のモラトリアム中年。引き続き、七転八倒をお楽しみください。

安室透さんが2.5次元になった話。


突然だが、久々の登板、安室透さん。


去年の映画に引き続き、今年の映画も安室透さんは出演しない予定だ。
そのうえ、安室透さんオタクのバイブル、サンデーの原作は去年から休載続きで、その代打として連載していたはずの、安室透さん主役の漫画「ゼロの日常」も、しれっと連載が止まり早数か月。

(財布的な意味で)非常にまったりと平和な暮らしをしていたある日のこと。
それは唐突に訪れた。


その話をする前に、まずユニバの話をしたい。
ユニバ(→↑↓)とは関西にあるユニバーサルスタジオジャパンである。

なんで安室透さんの話でユニバの話をするかというと、ユニバでは、毎年恒例で2~5月くらいに、名探偵コナンのコラボイベントが開催されるのだ。
オタクたちはその時期になると全国各地からユニバに集い「尊い、尊い…」と涙する。
子供の頃、「世界各地から100日以上かけてメッカに集うイスラム教徒」のドキュメンタリーを見て、
「え、アラーのためにそこまで…?」と動揺したが、大人になってまさか同じようなことをさせられるとは思わなかった。
しかも、ただの絵のために。
いや。
しかし、イスラム教は偶像崇拝を禁じられているから、イスラム教徒は「概念上存在する見たこともない神」のために巡礼しているわけである。
「概念上存在するし、見たこともあるし、なんなら新規絵も定期的に配給されるタイプの神」
と比べれば、イスラム教徒のハードルの高さには叶うべくもない。
大丈夫大丈夫、私はそんなに大したレベルではない。
(オタクはだいたいそういう。)


話戻ってユニバ(→↑↓)だが、一体コナンのオタクがユニバで何してるかと言うと、主なイベントが、概ね3種類ある。

一つ目は、ミステリーチャレンジ。
テーマパークで配布される謎解きシートをもって、テーマパーク内を練り歩きながら、謎を解くと、「秘密の場所」のありかがわかり、その場所に行くと、服部平次さん、遠山和葉さんなどのキャラクターに扮したアクターさんが小芝居を見せてくれるというもの。
参加は無料。

次が、ザ・エスケープ。
これはミステリーチャレンジの有料課金豪華版だ。
ユニバにある4階建てのビル内で殺人事件が起き、配布されたタブレットで出題される謎を解いたり、ゲームをしながら、ビル内の各部屋に隠されたヒントを参考に犯人を当てるというイベント。
ゲーム開始前の殺人が起きる経緯と、ゲーム後の振り返りを劇として、ビル内のシアターで見せてくれる。
出演はもちろん、コナンのキャラに扮したアクターさんだ。
ストーリー自体はオリジナルで、2時間サスペンス番組っぽい展開だが、一部演出が狂っており、
ユニバに来たはずなのに、なんばグランド花月に来た気分まで味わえる。(あくまで個人の感想です)
エスケープはその年の映画の主人公が話の主人公と決まっており、今年は赤井秀一さんと沖矢昴さんが登場する。

そして最後は、オタクの金と狂気が渦巻く、ミステリーレストラン。
これはユニバにある150人ほど収容のレストランで行われるディナーショーのようなもので、ご飯を食べながら、コナンのキャラクター等に扮したアクターさんが登場し、フロアを練り歩き、ボディタッチをしたり、おしゃべりをしたりと、オタクを大興奮させながら、オリジナルストーリーの劇を見せてくれるというもの。
ストーリーの主人公は、エスケープと同じくその年の映画の主人公と決まっており、一昨年は安室透さんが得意料理のハムサンドをリザーブしてくれるというとんでもないレストランが開かれ、去年は、怪盗キッド様や工藤新一さんが登場する鈴木財閥主催のパーティという設定だった。

そして、今年は映画の主人公が赤井秀一であるため、オタクの下馬評では、工藤邸に居候する大学院生、沖矢昴さん(赤井秀一の変装姿)が「得意料理は生煮えの煮込み料理」という強力なお料理公式設定を持っていることから、それを絡めたレストランだろうというのが大方の予想だった。

というか、それ以外ないだろうと思われていた。
なので、私は、今年の映画は安室透さんノータッチだしな~、とまったくの他人事で過ごしていたのだが…

去年の冬のある日。
それは起きた。







なんと、USJから発表されたミステリーレストランの主役が安室透さんだったのだ。

ノーモーションで繰り出された安室透のレストランという情報に、オタクたちは動揺しつつも、恐ろしい速さでチケット(5000円)が売れていく様子に、私も慌てて購入ボタンを押した。

そして「1年で3回行けば元が取れるよ」というオタクからの情報を聞き、すぐさま、ユニバの年間パスポート(2万円)まで買った。

「安室透がユニバでレストランをやる」というだけの情報で、東京の女から数秒で25000円巻き上げる男、安室透。

他人事だと横目で見ていたイベントが、まさかの鉄火場になった瞬間だった。
当然だが、財布も鉄火場になった。
恐ろしさしかない。もはや放火魔。


それから2ヶ月後。
年が明け、1月21日、安室透さんのミステリーレストランが初日を迎えた。
イベントの様子がすぐさまTwitterで駆け巡る。

その様子を目にして度肝を抜かれた。



イベントに、ツーショット写真撮影会が組み込まれている。



え?きいてないですが………???


そう、今までそんなイベント一回もなかったのだ。
レストランのイベント内容の予告でも一切触れられてなかった。
突然すぎる。

しかも、ただのツーショではない。
ツイッターのレポの様子を見るに、やたら距離が近いのだ。
私はアイドルなどの写真を撮るとき、自分が入りたくない派なのだが、調べる限り、そういう写真の撮り方はNGらしい。
強制ツーショなのだ。

まずい、このままでは安室透さんとツーショットをとるにあたり、自分の顔のほうがデカい、ということになりかねない。それは絶対に避けたい。

オタクは震撼した。
必ず、正月に蓄えたかの 邪智暴虐 のぜい肉を除かなければならぬと決意した。
オタクにはカロリー計算がわからぬ。
正月にたらふく餅を食い、ソファで漫画を読んで暮して来た。
そのうえ、邪悪なぜい肉に対して、人一倍鈍感であった。


こうして、オタクはその日から主食が大根を出汁で煮たものになった。
さらに土日はほぼ1食、平日も1食半の生活になり、なんと4キロの減量に成功した。
安室透さんのためならなんでも出来るなぁと、我ながら感心した。
(念の為補足すると、元々消化の負荷に胃が負けることが多く、油物を辞めたり一定期間絶食すると良くなることはわかっていたのだが、食い意地に負けて食べ続けていたため、この生活にして体調も良くなった。)

そして、ついに安室透さんとの邂逅を果たしたのである。


とはいえ、自分はあまり2.5次元に興味がなく、あくまで自分が推しているのは2次元の安室透さんであり、安室透さんのコスプレをした人のショーという感覚での参加だった。
まぁ推しの関連だし課金しておくか、という程度だ。

しかし、ここで事件が起きた。
このレストラン、座席は全席指定で、レストラン入場の直前に座席を言い渡される仕組みなのだが…

なんと私の席。

ここ。




近い。
近すぎて、めちゃくちゃ目が合う。


ふとした瞬間にこちらの視線に気づき、なんですか?という感じで安室透さんがニコッと笑うのである。




実はショーには、今年の映画に出る世良真純さんも出演しているのだが、
ショーの途中、彼女がアクターさんの派手なアクションに驚いた私を庇うように私の前にたち、振り向いて「大丈夫だぞ」と力強くアイコンタクトしてもらうという、ご褒美イベントまで起きた。

それを見た女性客は騒然とし、黄色い悲鳴が上がった。


USJはやる事がえげつない。
とんでもねぇ産業を編み出しやがる……



正直な話、もし最前の席でなかったらここまで丸焦げにされなかったはずなのだ。
もう少しまともに見れた気がするし、途中から食事が喉を通らなくなりパンを残すこともなかったはずだ。

しかし、覆水盆に帰らず。
滑落したオタク、元に戻らず。

こうして無事オタクは、帰りの新幹線で、次回のミステリーレストランの予約を入れた。
すぐに入れた。
こういう時の仕事だけは早いのだ。
なにせ、番号を入力するだけでいくらでも物が買える謎のカードがあるからな。





ちなみにこの写真、アクターさんのブロマイド2枚+自分との写真1枚+専用フォルダで2500円である。
ショーのあと、出口ですぐ受け取れるのだが、バカみたいに売れていた。






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