池袋駅構内にあるコミケの話。 - -honjitu no hirose-
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池袋駅構内にあるコミケの話。

2021/ 01/ 24
よた日記
                 
みなさん、ミニヨンというパン屋さんをご存知だろうか。

初めてその店を知ったのは、出張の乗り継ぎで博多駅に降りた時だったと思う。
その日、私は「初めて博多に来たのだから、これは気合を入れて夕飯を食べるぞ、明日の朝食も豪勢にいこう」と意気込んで博多駅にたどり着いた。

とっととホテルに荷物を置いて、鍋を食べに行こう。
そう意気込んで駅のコンコースを重い荷物を引きずり進むと、2m四方程しかないこじんまりとした店に10人ほどの人が並んでいるのが視界にはいった。

東京では10人ほどの列というのは特に気にもとめないが、ターミナル駅といえど、10人ほどの人が並んでいるというのは、大行列だ。

なんの店だろうと覗くと、売っているのは普通のクロワッサン。
看板を見ると、いくつか味があり、プレーン、チョコ、オレンジ、さつまいも、博多らしく明太子の4種類が売られていた。
とは言っても、東京近辺で言うところのミニドンクのような、小さいクロワッサンを量り売り。
特に目新しさも感じなかった。

だがしかし。
私が看板を見ている間にも、人が吸い寄せられるように列の最後尾に連なっていく。
そして、そのお客たちは、概ね1人30秒以内で捌かれていく。
店員さんを見れば、お客が○個ください、と告げた瞬間に彼女の目の前のクロワッサン宙を舞い、吸い込まれるように袋のなかにはいっていくではないか。
カウントしてみたが、1人の客が注文してから袋詰めするまで1~2秒くらいしかかかってない。
もはやクロワッサンを売る店と言うより、クロワッサンでショーをする店のようだ。


気になる。
気になるが、ここでパンなんぞ買っている場合ではない。
博多にいる間に口にできる食事は、夕食と翌日の朝食、昼食の3回。
初めての博多上陸。
ここで限りある胃袋にパンを入れる余裕は無い。
パンは東京に帰ってから食べてくれないか。
いやしかしいい匂いだな。あと列も伸びていくな……。


店から少し離れた、やまやの明太子の上りの下で暫く格闘していると、小人の家のような店から店員さんがいそいそと出て来るのが見えた。
なんだろう。
様子を見守ると、彼女は一息ついてから、軽く当たりを見回す。
そして駅のコンコースに響き渡るような声でこういった。

「チョコクロワッサン、残りわずかでーす!お急ぎくださーい!」

その間、僅か数秒だったと思う。
並んでいた。

聞いたことも見たことも無い、そして目新しさもないクロワッサンを買うための列に。
気づいたら取り込まれていた。

私の後ろにも、磁石に吸い寄せられた砂鉄のようにシュッと人が並んでいき、列はあっという間に15人ほどになった。

平日の夕方の博多。
呼び声に吸い寄せられどんどん増える行列は、店員さんの恐ろしい客さばきによりあっという間に溶けて消え、あっという間に自分の順番になった。
私は満を持して店員さんにこう告げる。

「全部の味、3つずつください!!!」

めちゃくちゃ笑顔だったと思う。


その後、ホテルに帰って一つだけ食べたが、その後の記憶はない。
ハッと気づいた時には、何故かパンは消えて、口の周りがクロワッサンのパンクズだらけになっていた。

何が起きたか分からない。
分からないが、パンは消えた。
あんなにあったはずなのに。

そんなわけは無いと、次の日の昼、博多を去る時にもう一度買った。
新幹線の中で袋を開けて口にする。

あまりの美味しさに一回目は脳がバックされ記憶障害に陥ったが、二回目はちゃんと味がした。
めちゃくちゃ美味い。
どれだけバター使ってるのこれ。
えぐい原価の味がする…
もはやこのバターの量は公益福祉だ。

とりわけチョコが美味い。
これはもう日本一のチョコクロワッサンと言っても過言ではない。
世の中には二つのチョコクロワッサンがある。
ミニヨンのチョコクロワッサンか、それ以外のクロワッサンか。
それくらい美味い。

惜しいのは、今後、博多に行く用はないので、このクロワッサンが二度と食べられない事だった。
新幹線で、1口クロワッサンを食べる度、クロワッサンから遠のいてゆく。
次に食べられるのは何年後だろうか。
そう思いながら、私は噛み締めるように、最後のパンくずまで残さず食べた。



私がミニヨンのクロワッサンを食べたのは、2018年頃だったと思う。

あれから3年。
なんと、池袋駅の改札前にミニヨンのクロワッサン屋が出来たのだ。

今まで東京で見るミニヨンのクロワッサンは、現地(博多)のエージェントがスーツケース等に忍び込ませて東京に持ち込んだ密輸品しか存在しなかった。
それがまさか正規輸入されるとは。

この衝撃的な情報に、TwitterではTLの九州出身者を中心に大いにどよめいた事は言うまでもない。


私もオープン半月ほどした年末の年の瀬にいそいそ買いに行ったが…

存在しないはずのコミックマーケット2020冬が、まさかの池袋駅で開催されていた。

恐ろしい待機列。50人ほどはいたと思う。
並んでる最中、「チョコクロワッサン、残りわずかでーす!」の声がひびき、列に不安げな空気が漂ったあの瞬間を私は忘れない。
そして「チョコクロワッサン、完売でーす!」の声が響いたあの瞬間を私は忘れない。

あんなひりついた空気、コミケ以外で感じようとは。
しかもコロナを生きのびたこのど年末に。
どんな仕打ちだ。


ちなみにその後もう1回行ったが、その時もチョコクロワッサンにありつけなかった。

ネットで相当調べたのだが、確実に欲しければ11~12時がベスト。
概ね14時には一度売り切れるっぽい。
夕方にチョコクロワッサンを買いに行くやつはアホという空気だった。


コミケか。
                         
                         

コメント

        

サンシャインアルパのメゾンカイザーよりも、ミニヨンのクロワッサンはうまい!