世界のみんなで返り血浴びる
最近の私の関心事と言えば、ウクライナしかありません。
私の世代はベトナム戦争、湾岸戦争を知りませんから、これが生まれて初めて見る国家間戦争です。
戦争は、狂った人や、狂った一国の決断により起こると思っていたんですが、今回の経緯を見るに、大戦争は、世界の様々な条件や役者が舞台に揃った時に、普通に自然と戦争への道が開けてしまうもの、なのだと驚きました。
今回、ロシアが侵略した理由について、国内では、領土問題とかプーチン狂人説が言われてますが、「ロシアで長期政権やってきた泣く子も黙るヤクザの親玉プーチンがそんな馬鹿みたいな理由でヒヨって開戦しないでしょ。」と思って調べたところ面白いものを見つけました。
英語だけど、怪しいながら日本語翻訳もできます。
とてもわかりやすい。
https://www.unz.com/mwhitney/the-crisis-in-ukraine-is-not-about-ukraine-its-about-germany/
(ノルドストリームの開発により)ドイツとロシアが友人であり貿易相手国である世界では、米軍基地、高価な米国製の兵器やミサイルシステム、NATOは必要ありません。また、米ドルでエネルギー取引を行ったり、口座のバランスを取るために米国債を備蓄したりする必要もありません。ビジネスパートナー間の取引は自国通貨で行うことができ、ドルの価値の急激な下落と経済力の劇的な変化を引き起こすことになります。これが、バイデン政権がノルドストリームに反対する理由です。それは単なるパイプラインではなく、未来への窓です。ヨーロッパとアジアが大規模な自由貿易地域に引き寄せられ、米国を外に向けたまま、相互の力と繁栄を高める未来。
ウクライナは、ノルドストリームを襲撃し、ドイツとロシアの間にくさびを置くためのワシントンの「選択の武器」です。この戦略は、「分割統治」というルーブリックの下にある米国外交政策ハンドブックの1ページから引用されています。ワシントンは、ロシアがヨーロッパに安全保障上の脅威をもたらすという認識を作り出す必要があります。それが目標です。彼らは、プーチンが信頼できない髪の引き金の気性を持つ血に飢えた侵略者であることを示す必要があります。
歴史的背景からウクライナがNATOに入りたがるのも無理はありません。
そもそも、ウクライナは、歴史的に見ればソ連の奴隷の筆頭。
ソ連にホロドモールによって地域のウクライナ人をほとんど皆殺しにされたうえ、ロシア人を送り込まれ、国内紛争の火種を埋められてますからね。
一方で、ウクライナもそこそこ国内でロシア系住民にえぐいことしてるし、ロシア側が、地理的に魅力的なウクライナを手放したくなく、アメリカの干渉を避けようと死にものぐるいなのも当然です。
しかし、それぞれの思惑が絡んだ時。
アメリカとしては、
ロシアとドイツの経済基盤が強固になるのを何もせず見守るか、
妨害、牽制するかの二択。
後者しか取りようがない。
ウクライナとしては、
アメリカから「ロシアはマジでやばい」という情報を得つつもこのままソ連にいいようにされ続けるか、
自由を求めて西側によるかの二択。
後者しか取りようがない。
ロシアとしては、
NATO入りをしたがるウクライナを容認するか、
全力で止めるかの二択。
後者しか取りようがない。
その結果、始まった侵略戦争に対して世界は、
ウクライナを見捨てるか、
第三次世界大戦になるかの二択。
後者しか取りようがない。
こうやって道が自然と開いてしまったように思います。
ウクライナは本当にしてやられたと思います。
散々、アメリカから煽られ、いざ戦争始まったらバイデンはアメリカってNATOに入ってないんだっけ?と思うほど大人しくしてしまったわけですから。
でも、アメリカにとっては「西欧でロシアがやばい国として周りから無視され続ける」ことが大事なので、ウクライナからの要求に対する他人事みたいな対応も頷けます。
日本国内の反応もとても興味深かったですね。
第一次世界大戦開戦前後の世相としてよく
「日英同盟がありつつも、遠い西欧の戦争の話だから、言って他人事でした」
という説明がされますが、私の狭いTwitter界隈で観測した限り、戦争への関心は24日の開戦一日目で終わり。
私は未だに1人でTwitterで戦争のことを呟いてますが、完全におかしい人になってます。
これがあの第一次世界大戦期の日本の他人事な空気感なのか、と妙に感心しました。
とはいえ、もしウクライナが負けたら、次に狙われるのは台湾であり日本なのは確実です。
ウクライナに噛み付いた赤犬が、今回痛い目を見なかったら、次はその右隣にいる赤犬が「なんだ、人間噛んでも怒られないんだ」と噛みつくでしょう。
そういう意味で、今回の戦争は、遠い西欧の戦争どころではなく、日本人にとってウクライナに負けてもらっては困る戦争です。
世界に強烈な社会的制裁を課してもらわないと困る戦争です。
日本人にとっては絶対に見逃せない戦争なはずなんですが……。
この無関心ぶりにはびびります。
そもそも今回、ウクライナが孤立したのは、ウクライナが核兵器をロシアに変換する代わりにアメリカが守るという約束を、アメリカが放棄したからです。
ウクライナ外相もブチ切れてましたね。当たり前ですけど。
日本がのらりくらりしてこれたのは日米安保条約があるからですが、ウクライナの約束を守らなかったアメリカが、この先なぜ日本と約束を守り続けてくれると思えるのでしょう。
そして、今回他国領土の不法占拠、侵略戦争を厭わなかったロシアが北方領土で、中国が尖閣諸島で同じことをしないとなぜ言いきれるのでしょう。
危機的な状況のはずなのに、日本のことがさっぱり分かりません。
元々、在宅勤務をする時に世界のライブカメラを見てるのですが、最近、ウクライナとルーマニアの国境のライブカメラというのを発見して、ここ数日は、それを眺めていました。
以前から紛争地域でよく聞く「難民として徒歩で隣国に逃げる」というのが、海に囲まれた日本人からするとあまり想像できなかったからなんですが。
本当にみんな、普段着で旅行客みたいな、3泊4日くらいの荷物で検問に来るんですよね。
特に人が殺到してるわけでもなく、徒歩で普通に歩いてきて、入国手続きをしては、ルーマニアに入っていく。
でもしばらく見てて、子供がよく歩いてくるなと思いました。
5歳~10歳くらいの子。
寒いからモコモコのダウン着せられて、着ぐるみみたいにとことこ歩いてくる。
そしてみんな、くまやうさぎのぬいぐるみ、お気に入りのクッションのようなものを抱えています。
荷物の量からして、どうしても連れていきたいものだったんでしょうね。
隣にはお母さん。
そういう二人組が、首都キエフに攻撃が始まった日、めちゃくちゃたくさん画面に映ってました。
どうして二人だけなのか、かんがえれば容易にわかる事なのですが。
それから、検問の奥の方でずっと話し込んでいる大人二人がいて。
動かずずっとその場所に居るので、パスポートか何か忘れたのかなと見てたのですけど。
その後、一人だけが検問に向かって歩き、もう1人は帰っていきました。
検問に向かう人は一度も振り向かなかったです。
お母さんも子供も、一人国境を越えた人も、誰も涙も流してませんでした。
そんな感傷に浸ってる暇ないのでしょう。
強い顔で、しっかり前を向いて歩いて、検問のゲートに入っていきました。
良く考えればそうなのですが、戦争の本に書いてある、テレビでまとめてある戦争の話は、所詮「経緯の話」なんですよね。
でもあまりにそれが溢れすぎてて、人はそれを戦争と勘違いしてしまう。
じゃあ何が戦争を説明しているかといえば、
こういう一瞬の映像であったり、
ウクライナのシェルターに逃げているウクライナ人や、爆撃機を見上げながらキエフにいる日本人の日記、
老後はどうなったとしてもこの国にいたいと、亡命せず国に残ると決めたウクライナ人の老人の話、
銃撃戦を陰から撮影した一般市民の動画。
それから、
国のために、世論を味方につけようと死に物狂いでインターネットを使う大統領の鬼気迫るツイート。
それが戦争の実態なのでしょう。
ペンタゴンが軍事目的で開発したインターネットが、戦争の真実を伝える道具として、まさか戦争の抑止力として役に立つなんて誰も当時は思わなかったのでしょう。
世界は初めて、ライブ配信やSNSで繋がった戦争を目にして
「意思や行動がすぐに共有され、それが世界の人を動かす」
ことの威力の凄さを知りました。
意思とは、勇敢さであり、信念であり、慈悲です。
そして、その有用性に最も早く気づいたのが、ウクライナの大統領なのでしょう。
数日でロシアに処刑されると思われた彼が
「ゼレンスキーの言動が英雄的すぎるせいで、殺した人は、歴史的大悪党確定、そのうえ世界から罵倒される未来しかないから、殺すに殺せない」
という状況になるとは、誰も思わなかったでしょう。
万一、大統領がロシアに殺されたとしても、彼の発言やツイートはすべて残りますから、烈火のごとき世論の非難がプーチンの玉座を揺るがす事は、想像に容易いです。
ゼレンスキーは確実にそれを狙ってるでしょう。
最初は、「亡命政府でいいじゃん、なんで逃げないんだ」と不思議に思ったのですが、国は守る、それが無理なら刺し違えてでも殺す、という意思は、極東の庶民にすら伝わってきます。
彼の勇敢さは、翻って
自分の考えを自分の言葉で伝えられない人、信念を持ち実行できない政治家は、あらためて超絶ダサくて、もはやいる意味が無い。
ことを民衆に気づかせてしまったような気もします。
それがわかっているから、イーロン・マスクや三木谷氏はすぐさまウクライナへの対応を決めたのでしょう。
一方で、バイデンや岸田は、人の価値の低さ、ダサさを、世界や国民に知られてしまった筆頭でしたね。
(岸田っちの経済的被搾取層を守ろうとする姿勢を悪くないと思ってたので、本当に残念です。もう短命政権確定でしょうね…。)
この価値観は、今よりも強く世界の中でのひとつのストリームになるのではないでしょうか。
早ければ来週には、SWIFTの発動で世界が経済的返り血を浴びるでしょうか。
私なぞ既に、逃がし忘れてた分の投資信託で盛大に返り血を浴びてびしょ濡れですが、これでいいと思います。
結局人間、戦争反対なんて倫理なんかじゃ、無関心は直りません。
人間は人間が思うほど賢くないからね。
無関心と傍観の結果が、今回の戦争でもあるのは明白なのですから。
どの国の人も、痛い目みたら、もう二度と戦争嫌だって思うでしょう。
これから先、庶民の我らも、目玉飛び出るほど高い電気料金やガソリン料金にびっくりして、無関心と傍観の制裁、受けていきましょう。
そうはいっても、ウクライナがそれまで持ちこたえられるのか、かなり怪しい状態ではありますけれどね……。
ウクライナ首都キエフの独立広場(日本で言うところの首相官邸のある場所)のライブカメラをよく見てるのですが、
毎日、空襲警報がなったりしつつも、無事に空襲もなく日が暮れて、広場が暗くなることに安堵します。
今日も無事になんとか独立広場は守られたと。
夜襲がなく明日を迎えられますようにと、毎日思います。
これからも何も出来ないけれど、小銭を各所に投げつつ、状況を見守りたいと思います。
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