「ビルマ軍医戦記」の感想レビュー
客層が偏ってるせいか、古典と歴史小説系が全然売れてなくて、
欲しかったけど絶版してたのもあって、たんまり買い込んできたんだけど。
そこで、ちょっと面白そうなので買ってきた一冊。
![]() | ビルマ軍医戦記―地獄の戦場 狼兵団の戦い (光人社NF文庫) (2005/03) 三島 四郎 商品詳細を見る |
戦争小説とか歴史小説好きなんだけど、よくある
もっともらしく言ってるけど、その辺の資料って何も出てないよね!?
って言うモヤモヤがなくて体験記良いなって思った。
調べたら軍医物は何人か書いてるみたい。
ブログを書いたりツイッターやる人は、やらない人に比べて年収が高くて、
年収が低い層はそれを読む側になってる事が多いって調査で読んだけど
やっぱりお医者さんとかだとそういうの発信したくなるものなのかな。
ただ生存率が高いってのもあるだろうけど。
話がそれたけど。
この軍医さんがかなり呑気な人で、合流するまでの間、
行軍の途中で知らない果物見ると、面白そうだからと食べてみたり、
見たことがない蝶々がいた時は帽子で何匹も捕まえて保管したり、
牛にいろんな草を食べさせて食料難の時に食べられる草リストを作ったり、
中盤、ちょっと変わった人の辺境旅行日記みたいになってたのが面白い。
生活の話が多いから、あの辺の人って親日家多くてたまに鬼畜だっていう人がいるけど、
なんでそういうことになったのかとか、
手術のレベルとか、患者の対応とか、
地元民の部族とか文化の話とか、慰安婦の扱いとか人種による階級?とか、
後方軍が日ごろ何して何食べてたか、物資の供給具合、
情報はどこまで入ってたのか、敗戦についての認識など興味深い話が多かったです。
重病で搬送中うっかり踏まれて死んだり、
将校なのに軍曹にいじめられて自殺した人がいたり、
船が狭くて寝る場所がなくて、碇で寝てたら船から落ちたり、
部下を物のように扱って、船から落とされたり、
まさか育てた息子がそんな風に死んだなんて、思いもよらない。
かたや、敗走中に備蓄庫によって米を担げるだけ盗んで地元民に売って生活品買ったり、
本当は乗れない船に、あれ?追加で連絡行ったの聞いてませんでした?って無理やり人載せたり、
ほとんど略奪した砂糖を、日本軍の努力に地元民が安くくれましたと、将校に砂糖を売った兵士がいたり、
逞しい機知によって自分の命を守った人もいるわけで。
そういう人たちがいて、敗戦したからこそ、
徴兵もなく、こうやって私たちはのらりくらりやってるわけだけど。
本の後記に「あれは何だったんだろうと、庭の草をむしりながら思う」と書いてあった。
4~5才のころ、可哀想な象が病院にあって、行く度、診療前と診療後、必ず読んでたんだけど、
この何なんだろう感はそのころからあるように感じる。
なんなんだろうなぁ。
なんなんだろう。
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